くるみ割り人形の物語

2017.04.27

ドイツ・エルツ地方の伝統木工芸品のひとつに、「くるみ割り人形」があります。

くるみ割り人形は、後ろのレバーを上げると口が開き、その口にクルミをかませ、レバーを下げるとクルミが割れる仕組みのおもちゃです。

 

コラム第1回では、クリスマスの贈り物としても愛される「くるみ割り人形」の物語についてご紹介します。

●紙の上の「くるみ割り人形」

くるみ割り人形は、18世紀ごろにはすでに存在していたといわれていますが、その人気を高めたのは2つの童話、E. T. A.ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王さま』(1816年)と、ハインリヒ・ホフマンによる『くるみ割り王とあわれなラインホルト』(1851年)です。これらは夢あふれるクリスマスの物語であり、くるみ割り人形が魅力的に活躍します。

バレエ音楽のもとになったことでも知られている『くるみ割り人形とねずみの王さま』(1816年)では、クリスマスの前の晩に、少女マリーに贈られたくるみ割り人形が、七つの頭をもったネズミの王様とたたかいます。くるみ割り人形は、優しい青い目をした兵隊の姿として描かれています。

『くるみ割り王とあわれなラインホルト』(1851年)では、病気の少年ラインホルトが夢の中でくるみ割り人形の王様に出会い、おもちゃの国へ招待されます。いろいろなおもちゃと遊んだあと、現実の世界へ帰ると、ラインホルトはすっかり元気になっています。

 

ラインホルト少年とくるみ割り王のお別れの場面
Heinrich Hoffmann, König Nussknacker und der Arme Reinhold (Kindler, 1975)より

 

木馬に乗ったくるみ割り人形

 

おもちゃの展示館には、いろいろな「くるみ割り人形」の絵本があります。ぜひお手にとって、物語の世界も味わってみてくださいね。