グリム童話総選挙~有名なおはなし~ご自宅でご参加企画!(6/22まで)

2020.04.23

軽井沢絵本の森美術館では、現在イベント「グリム童話総選挙~有名なおはなし~」を開催中です。
現状を鑑み、春の企画展「『グリム童話』のメルヒェン旅行記」会期終了の6月22日(月)までご自宅でもご参加いただけるようにいたしました。この機会にグリム童話を読み返しながら、お好きなおはなしに清き一票をお願いいたします!

【グリム童話総選挙~有名なおはなし~ 投票ページ】(投票は終了しました)

結果発表は夏展「お菓子の家の先には…?~『グリム童話』の森へようこそ~」(6/26~10/5)内で先行発表後に、 HP・SNS等にて公開いたします。


【ノミネート作品の紹介と解説】

①赤ずきん

モチーフとしても人気な赤ずきんはかわいらしい印象がありますが、赤ずきんやオオカミが何を指すのか、様々な解釈が生まれる物語としてミステリアスな魅力もあります。
時に「赤ずきん」は、おばあさんと共に食べられてしまう結末で紹介されることがあります。
こちらはシャルル・ペローが元の昔話を改変した一部で、彼は宮廷に仕えていたこともあり、より教訓的な話にしたのではないかと言われています。「グリム童話」では、猟師が助けにくる結末となっています
★軽井沢絵本の森美術館 「赤ずきん」読み聞かせ+解説動画:
 https://www.youtube.com/watch?v=rihnoZ_rmbo

②いばらひめ(眠りひめ)

呪いによって百年の眠りについたお姫さまをいばらに囲まれたお城から王子さまが救い出す物語。作中で象徴となるいばらや錘は、北欧神話との関りがあるといわれており、非常に神秘的です。
冒頭ではザリガニ(またはかえる)がお妃さまに「もうすぐお姫さまが生まれてくる」と、予言します。水でも陸でも生きられる生き物は、人間の知らない世界まで知っていると考えられており、予言者の役割を持った存在として描かれているといわれています。この説もまたこのおはなしを神秘的にさせます。
★軽井沢絵本の森美術館「いばらひめ」読み聞かせ+解説動画:
 https://www.youtube.com/watch?v=HBfZDYWy8t4

③おおかみと7ひきの子やぎ

グリム童話の多くは登場人物が人間ですが、このおはなしは動物中心(人間は粉屋のみ)で、ちょっぴりファンタジック。親しみやすいおはなしでもあります。
グリム童話が日本で訳されはじめたのは1887年で、この時から挿絵がついていました。中でも「おおかみ~」はかなり早い段階で訳されたおはなしで、当時は着物を着ているたいへん味わい深い動物たちの挿絵となっています。国立国会図書館のデジタルコレクションでご覧になれます。
★軽井沢絵本の森美術館「いばらひめ」読み聞かせ+解説動画:
https://www.youtube.com/watch?v=M3EFkaSU0Z8

④かえるの王さま

かえる(呪われた王子)がお姫さまに言い寄る印象が強いですが、グリム童話では、王子の呪いがとけると召使いハインリヒが悲しみを抑えていた鉄のたがから解放される結末です。
『グリム童話集』は7版まで改訂されましたが、このおはなしは一貫して1番目に収録。
わがままだったお姫さまが試練を乗り越える成長が描かれているという解釈もあれば、女性がかえる(男性)に対して抗う点からジェンダー的な見方をされることもある、多面な面白さを持っています
★軽井沢絵本の森美術館「かえるの王さま」 読み聞かせ+解説動画:
 https://www.youtube.com/watch?v=ojMg9iqyWP4

⑤金のがちょう

主人公は小びとから金色のがちょうをもらいます。それによって町の人々がみんなくっつき、滅多に笑わないお姫さまがその光景に笑ったことで、主人公は彼女と結婚することになりました。
この主人公は、森の中で出会った小びとや男にお菓子や飲み物を分けてあげるなど、小さな親切を積み重ねています。心理学者のベッテルハイム氏は「昔話における主人公のこうした振る舞いは、日々の小さな成果が素晴らしい出来事につながっていくことを子どもに伝える場面である」と語っています
★軽井沢絵本の森美術館「金のがちょう」 読み聞かせ+解説動画:
  https://www.youtube.com/watch?v=RSPfoegrgzM&t=2s

⑥白雪ひめ

毒りんごの印象が強いですが、その前に白雪ひめはひもとくしでも殺されている場面が存在します。
また、白雪ひめが目覚める方法も王子さまの口づけではなかったり…ぜひ本文を読んでみてください。
白雪ひめの中には「雪のように白く、血のように赤く、この窓枠のように黒い女の子」と、何がその色を指しているのか不明な文があります。グリム童話の初版を出した後、グリム兄弟は「雪のように白い肌」「血のように赤い頬」「窓枠のように黒い目」と加筆したのですが、その原稿は長い間行方不明になっていました。

⑦灰かぶり

シンデレラの名前でも知られ、不遇な主人公が幸せを掴んでいくひたむきな姿に胸を打つおはなし。
ガラスのくつや魔法使いは赤ずきん同様ペローが創作したもので、グリム童話ではちょっと違うのです。グリム童話では、灰かぶりを助けてくれるのは魔法使いではなく鳥なのです。
また、お城で落としてしまうのはガラスではなく金色のくつであったり、舞踏会は一晩だけでなく三晩ほど開催され、灰かぶりの装いが銀色から金色のドレス・くつへと、日ごとにグレードアップしていくいう相違点があります

⑧ブレーメンの音楽隊

飼い主にひどい扱いを受けたろば・犬・ねこ・にわとりが、ブレーメンの街に行って音楽隊になろうとする道中、どろぼうの家を奪って楽しく暮らすという、実に爽快なおはなしです。
「ブレーメンの音楽隊」というタイトルで馴染んでいますが、英語では『Travelling Musicians(旅行中の音楽家たち)』という表記になります。
グリム童話をはじめメルヒェンは、ドイツ土着の思想から生まれたもの。ブレーメンというドイツの地名がついたタイトルには、そうした故郷への愛着を感じます

⑨ヘンゼルとグレーテル

何といってもお菓子の家のインパクト!グリム童話の象徴として、色褪せない存在感を放ちます。また、男の子と女の子が知恵をつかって試練を乗り越える姿には、大人も子どもも共感します。
このおはなしは当初「兄と妹」という題で、内容も少し違うものでしたが、兄妹が崩壊した家庭を立て直すという展開は同じです。
グリム兄弟は『グリム童話』を編纂するにあたり、自分たちの精神性や生き方と関りがあるテーマの昔話を選別しており、特に多く見られるのが「兄弟」であったといわれます

⑩ラプンツェル

近年映画で人気になりましたが、「ラプンツェル」とは野菜の名前!グリム童話では、ラプンツェルの母親がこの野菜を無性に食べたくなり、父親が魔女の庭から盗んだことからおはなしが始まります。
兄弟が教鞭をとったゲッティンゲンの近くには、この塔のモデルといわれるホテルがあります。
このおはなしの元をたどるとシュルツという人の小説、さらにはフランスの小説に行きつきます。この小説もまた17世紀イタリアの昔話集『ペンタメローネ』を元にしているといわれ、長いルーツを感じます

【各イラストについて】
①③⑦⑨…アーサー・ラッカム『The Fairy Tales of the Brothers Grimm グリム童話』1909年より
②…カイ・ニールセン画『Hansel and Gretel and other stories ヘンゼルとグレーテル、そして他のおはなし』1925年より
⑥⑩…ウォルター・クレイン画『Grimm’s Fairy Tales グリム童話』1888年より
④…アン・アンダーソン画『Grimm’s Fairy Tales グリム童話集』1919年より
⑤⑧…ジョージ・クルックシャンク画『German Popular Stories ドイツの有名なおはなし』1823年より