2017.06.28
『不思議の国のアリス』の挿絵を初めて手がけたのは、イギリスの挿絵画家ジョン・テニエルです。19世紀後半に諷刺雑誌で活躍し、動物の絵を得意としていたことからアリスの挿絵がまかされました。アリスの物語が今日世界中の人に親しまれているのも彼の力によるところが大きいとされています。
当時のイギリスでは著作権の保護期間が42年と決められていました。
1907年に『不思議の国のアリス』の著作権が切れると、多くの画家たちが堰を切ったようにアリスの挿絵本を出版しました。なかでも傑出していたとされるのが、アーサー・ラッカムと、チャールズ・ロビンソンです。この頃、イギリスでは挿絵の黄金時代を迎えるのですが、アーサー・ラッカムもチャールズ・ロビンソンも黄金時代を代表する画家で、当時大変な人気を博しました。
現在開催中のアリス展では、この2人の画家の1907年初版も展示しています。2人の画家がそれぞれ描いた、テニエルとは全く違う、新しいアリス像を、ぜひ展示館でくらべてみてくださいね。
※さて、こまかいお話になりますが、本展では、アーサー・ラッカムの初版本を2種類展示しています。ひとつは限定豪華本で、ガラスケースに展示しています。
もうひとつの初版本は、普及版で壁面に展示しています。古書をばらして額装していますので、ラッカムのカラーの挿絵13葉をすべてご覧いただくことができます。アリスのストーリーとともに一緒に味わっていただけたらと思います。