2026.10.30
エルツおもちゃ博物館・軽井沢では、2026年10月10日から2027年1月11日まで、2026年秋冬展「クリスマスのかざり」を開催中です!
ドイツ・エルツ地方の木製オーナメントをはじめ、多彩なクリスマスの飾りをご紹介しています。

今回の学芸コラムでは、展示しているクリスマスのかざりの一部をご覧いただけます!

まず、木のおもちゃの名産地・エルツ地方の代表的なクリスマスかざりをご紹介します。
エルツ地方では、19 世紀にクリスマスツリーが定着する以前から「クリスマスピラミッド」という飾りが親しまれています。燭台のキャンドルを灯すと、温められた空気が上昇し、一番上のプロペラとそれにつながる人形たちの乗った台がくるくると回転するようになっています。

写真のクリスマスピラミッドは、リヒャルト・グレーサー社のものです。1930 年代のザイフェンに多く見られた民家の形をしています。また、4つの窓がついており、クリスマスの約4週間前から日曜日ごとに1つずつ窓を開ける、アドヴェントカレンダーにもなっています。
「パイプ人形」もエルツ地方の代表的な飾りの一つです。パイプ人形のお顔をよく見ると、ぽかんと口が開いています。人形の体は上下に分かれるようになっており、脚の部分にはお香を置く台があります。お香に火をつけて体を元通りにすると、人形の口からけむりが出て、まるで人形がパイプをくゆらせているように見えるのです。

写真のパイプ人形は、クラウス・メルテン工房のもので、「鉱夫のパレード」の様子を表しています。ザイフェンは、14 世紀頃から鉱業で栄えた地域でした。その歴史を今に伝えるパレードがアドヴェントに開催されます。伝統的な鉱夫の服装をまとった人々や音楽隊が壮大な行列を成し、ザイフェン教会へと行進します。鉱夫のパレードは、2016 年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
また、クリスマスピラミッドとパイプ人形は、クリスマス当日に館内で実演イベントを行います!ぜひ、実際に回転したり、けむりを出したりする様子をお楽しみください。
イベント詳細:https://museen.org/news/3971/
続いて、クリスマスオーナメントの工房を紹介していきます!
工房ごとに異なる個性にご注目ください。


グラウプナー工房のツリーオーナメントは、明るい色彩が特徴となっています。ツリーに吊るすことに適した扁平な形のなかに、クッキーを作っている場面のサンタクロースなどが生き生きと表現されています。どの作品からも木の温もりが感じられ、鮮やかな色調とも相まって、見ているだけで楽しい気持ちにさせてくれる作品です!
職人の手によって作られるエルツ地方の木のオーナメントは、二つとしてまったく同じものがありません。毎年一つずつお店でお気に入りを選ぶことも、クリスマスを迎えるまでの楽しみとなっています。

クーネルトは、木の自然な色合いを活かした、白木調のオーナメントを手がけています。なかには、異なる色の木材を組み合わせて表現されている作品もあり、木の風合いを楽しむことができます。

クーネルトのオーナメントには、トランペットを持った天使やバイオリンなどの楽器をモチーフにしたものが見られます。キリスト教の世界では、音楽は「神にささげるもの」と考えられています。そのため、楽器を奏でたり、歌ったりする天使がしばしば描かれてきました。クーネルトの天使たちも、楽器を手に、クリスマスをお祝いしているのかもしれません。

リヒャルト・グレーサー社は、透け感のある色とりどりの絵柄が美しい、ステンドグラスを思わせるオーナメントを手がけています。窓辺やツリーに飾ると、光を通すことで一層美しい色を楽しめます。

一枚の中に聖歌隊やメッテンゲンガー、イエス・キリスト誕生の場面など、ザイフェンのクリスマス文化を象徴するモチーフが描かれています。
メッテンゲンガーとは、クリスマスの前夜に教会の礼拝へ向かうザイフェンの村の人々のことです。電気がない時代、人々はランタンの灯りを頼りに、教会で行われる夜のクリスマス礼拝に足を運びました。
オーナメントのなかには、食べものがモチーフになっているものもあります。欧米で親しまれているジンジャークッキーは、上部の穴に紐を通すとオーナメントとしても活躍します。ドイツなどでは、ジンジャークッキーを家庭で焼くこともクリスマス前の楽しみの一つになっています。

この他にも、たくさんのクリスマスのかざりがみなさんをお待ちしています。ぜひお立ち寄りください!
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学芸員 大西