マッチ箱おもちゃのひみつ

2019.07.17

現在エルツおもちゃ博物館・軽井沢では、「森の贈りもの」展が開催中です。
さて、展示品の中に一種、飛びぬけて小さいおもちゃが…!

マッチ箱(Zündholzschachteln)の中に、日常の1コマや物語のワンシーンが再現されています。
持ち運びもしやすくてとてもかわいいおもちゃですね!

こんな見た目のマッチ箱おもちゃですが、こちらができた背景には深刻な問題がありました。
それまでのドイツでは、おもちゃの輸出にかかる関税は値段に対してかかっていました(従価関税)
しかし、1890年頃から「重さ」にかかるように(従量関税)
そのため、かさばるような大きなおもちゃの輸出が困難になってしまったのです。

そこから考え出されたのが、このマッチ箱に収まるほどの小さなおもちゃ!
しかも箱がついているので、包装のコストが削減できます。
こうして関税対策もばっちり、低コストなマッチ箱おもちゃが発明されました!
当時は安価に販売されていたのも魅力だったようです。非常によくできたおもちゃなんですね!

関税問題を乗り越えたエルツの人々の発想力にも驚かされると同時に、小さなマッチ箱の中に、これだけの内容を収められるマイスターたちの繊細な技術に敬服します。

企画展「森の贈りもの」展の中では、「サンタクロース」と「森からうまれた物語」のコーナーでマッチ箱おもちゃを見ることができます。
サンタさんやグリム童話のどんなシーンを再現されているのか、ぜひご覧ください!

ムーゼの森 学芸員 中須賀