軽井沢絵本の森美術館「木葉井悦子のアトリエ」~夏の展示~

2020.08.28

第一展示館の「木葉井悦子のアトリエ」の展示替えを行いました!
春の展示で紹介しておりました『やまのかぜ』『ぼんさいじいさま』にかわって、『みずまき』という作品を展示中です!

木葉井の作品の中でも人気の高い、『みずまき』。この絵本は、暑い夏にこそ読みたい1冊です。

あるあつい日、あつくてあつくて、庭の生きものたちはみんなお昼寝しています。そこへおんなのこがやってきます。

「にわのみなさん おきてください。あめだぞ あめだぞ。」

そう言って、おんなのこは庭に水をまきはじめます。そうして、庭と庭にいる生きものたちをうるおしていきます。

水を表現する青色が、涼しげで心地よいです。また、『みずまき』には「くりかえし」と「落ち」があるという特徴があります。

例えば、おんなのこが「あめだぞ あめだぞ」と言って水をまきます。すると、生きものがページいっぱいに映し出されます。そして映し出された生きものが何をしているのか読者に伝えます。わくわくして次のページをめくると、「と おもったら 〇〇でした」という「落ち」が待っています。こうした「くりかえし」と「落ち」のリズムが、とても楽しい作品です。

また、『みずまき』の表紙をめくってみるとオレンジ色の見返しがあらわれます。しかし、絵本の最後の見返しは、水色 になっています。

▲最初の見返し
▲最後の見返し

あつい庭が、おんなのこがみずまきをしたことによってうるおい、涼しくなったのが、見返しでも表現されているのです!
絵本の細部にまで広がる『みずまき』の世界、ぜひ実際に読んで、体感してみてください。

「木葉井悦子のアトリエ」内に、『みずまき』をご用意しております。また、エルツおもちゃ博物館に併設の「絵本のお店」でも販売しております。夏にぴったりな涼しげで楽しい『みずまき』、この機会にお手に取ってみてください!


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学芸員 畑中