2022年春夏展
2022/06/22(水)〜2022/10/10(月)
精霊、魔法使いや大男、悪魔、変身……
語り継がれる「妖精」の魅力
“Fairy Tale(フェアリーテイル)”の“Fairy”とは、今では「妖精」の意味を持ちますが、語源はラテン語の“fatum(運命)”や“fatare(魔法をかける)”にあり、人間に良いことも悪いことももたらす存在と考えられていました。
こうした「妖精」は、主にイギリスやアイルランドなどで成り立つブリテン諸島で語り始められました。例えば、12世紀頃の歴史家ジラルドゥス・カンプレンシスによる『ウェールズ旅行記』では、妖精の特徴についての記述が残っています。16 世紀には、シェイクスピアが「夏の夜の夢」「テンペスト」などの創作の妖精物語を綴り、イギリスでは妖精信仰の最盛期を迎えました。
妖精信仰は時とともに失われていきますが、19世紀初め頃に起きた、各国の昔話収集・出版の波によって蘇りました。『グリム童話』刊行を皮切りに、イギリスでは、1849 年 J.O.ハリウェル『イングランドの伝承童話とおとぎ話』、1890年ジョセフ・ジェイコブズ『イギリスの昔話集(English Fairy Tales)』などが出版され、昔話が書物によって広く読まれるようになります。
昔話に出てくる「妖精」とは、羽の生えた精霊だけでなく、「シンデレラ」に出てくる魔法使い(または仙女)、「ルンペルシュテルツヒェン」の小人、「ジャックと豆のつる」の大男なども含まれます。このように、人間の力を超越した存在が登場する、あるいは魔法のような現象が起こる物語を、イギリスではまとめて「フェアリーテイル」と呼ぶようになりました。こうして語り継がれていた「妖精」の存在は、物語とともに息を吹き返したのです。
本展は、絵本学会会長・昔話研究者である藤本朝巳氏(軽井沢絵本の森美術館 顧問)の研究をもとに、イギリスとドイツの『グリム童話』といった昔話を中心とした、妖精の役割や特性、知られざる魅力を紹介します。また、昔話絵本を多数出版されているBL出版より拝借、さとうゆうすけ氏『ノロウェイの黒牛』、バーナデッド・ワッツ『ラプンツェル』の絵本原画を展示します。
2022年06月22日(水)〜2022年10月10日(月)
【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】
大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円