2023年春展
2023/03/18(土)〜2023/06/19(月)
アンデルセンの物語を絵本にするのはむずかしい?!
アンデルセンのことばと絵本の関係をさぐる
「人魚ひめ」「マッチ売りの少女」など、世界中で知られるアンデルセン童話ですが、一方で「絵本にするのがむずかしい」ともいわれます。アンデルセンの物語には、彼の幼少期の思い出や旅での経験、考え方、さらに故郷のデンマーク語独自の表現や文化といったものが色濃く反映されているため、それらを理解しないと、なかなか絵にできないのです。
そのためアンデルセンの絵本は、彼と故郷を同じくし、その風土や文化を共有しているデンマーク出身の画家たちを中心に、優れた作品が輩出されてきました。また、国外の画家たちも、デンマークを訪れることで、彼の思いや表現――「ことば」を深く受け止めて、アンデルセン童話絵本を生み出してきました。現在でも、そうした作品によってアンデルセン童話が世界中で読み継がれています。
さて、そんな数々の画家たちが向き合ってきた、アンデルセンの「ことば」とはどんなものでしょうか。童話の王さまとして知られるアンデルセンですが、その創作活動は小説から始まり、1839年には『絵のない絵本』が出版されています。この年はアンデルセン最初の童話集第1巻(1835-1837)~第2巻(1838-1842)刊行の間にあり、『絵のない絵本』はアンデルセンの小説家・童話作家の両面が見える作品でもあります。 本作は、第 1 夜~第 33 夜の全編にわたって、月が主人公に語りかける構図で展開されます。この 33 話は主にドイツやイタリア、スウェーデンといった国々への旅行体験が題材となった物語ですが、例外もあります。例えば第 27 夜で舞台になっている中国は、アンデルセンが行ったことのない国でした。こうしたアンデルセンの未知の国への想像は、童話「ナイチンゲール」(1843 年に発表)にも見られ、同じく中国を舞台にした内容です。
「絵のない絵本」の主人公は「画家」であり、これはアンデルセン自身がモデルになっています。ここでの彼は「画家」として、月が語りかける物語を「絵本」にしようとします。ここに描かれる異国の光景は、とても緻密で具体的であり、読むだけで情景が浮かびます。これは観察力に溢れたアンデルセンの創作態度ともつながっており、彼は「ことば」によって物語を絵のように表現しようとしていました。童話でも小説でも、アンデルセンの物語は、それ自体が絵のような鮮やかさを持っているのです。
本展では「絵にするのがむずかしい」とされるアンデルセン童話の絵本を、アンデルセンの文章と絵の関係性に着目しながら紹介します。そしてイラストから見える、アンデルセンの「ことば」の表現の豊かさをお楽しみください。
※本展には、一部撮影可能な作品がございます。
撮影禁止の作品の撮影、SNS等への画像の投稿はご遠慮ください。
【展示作品リスト】
・展示リスト(壁面) (3/9 一部内容を変更しました)
・展示リスト(ケース)
【イベント等】(2/24更新)
春展「アンデルセンのことばと絵本」ギャラリートーク
以下の日程で学芸員によるギャラリートークを行います。各回、それぞれのトークテーマがございます。
第1回:3月26日(日)
アンデルセンの生涯やエピソードを取り上げながら、本展のご紹介を行います。
第2回:4月22日(土)
メインイラストを飾る作品『絵のない絵本』を中心に、本展のご紹介を行います。
第3回:6月17日(土)
展示中のアンデルセン童話の絵本の中から、学芸員おすすめの作品を中心に本展のご紹介を行います
・開始時間は14時からとなります(30分程度)
・ご予約不要 ※入館料が必要です
・ご参加希望の方は、お時間になりましたら第2展示館の入り口にお集まりください。
・途中参加/途中抜け可。トークは第2展示館内で行いますので、途中参加の方はそのままお入りください。
2023年03月18日(土)〜2023年06月19日(月)
【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】
大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円