2024年春展
2024/03/9(土)〜2024/06/9(日)
お皿とスプーンは、このあとどうなる?
ちょっと不思議なマザーグースの世界
「マザーグース」は、多くの場合、イギリスに伝わる伝承童謡を指します。日本でも「ロンドン橋」や「コック・ロビンの死と埋葬」などのマザーグースが有名です。
この「マザーグース」という言葉は、フランスの作家、シャルル・ペローの伝承童話集『過ぎ去った日の物語や歴史(Histoires ou contes du temps passé)』(1697年)が由来とされています。このペローの童話集に描かれた挿絵のなかに「がちょうおばあさんのお話(Contes de ma mère l’Oye)」という言葉が書かれており、この部分が1729年に出版された英訳版で「マザーグース(Mother Goose)」と訳されました。ペローのお話は、当時パリの貴族の文学サロンで人気を博していましたが、1729年の英訳版もまた好評となりました。こうして「マザーグース」という言葉が広がっていきます。さらにこの頃、イギリスでは伝承童謡をまとめようとする動きが活発になっていました。そして1700年代末に、最初の児童書出版者といわれるロンドンの商人ジョン・ニューベリーが伝承童謡集『マザーグースのメロディー(Mother Goose’s Melody)』を出版し、次第に伝承童謡とマザーグースという言葉が結びつくようになりました。
マザーグースの集成が作られるようになるとともに、マザーグースを分類しようとする動きも表れてきました。例えば、イギリスの文学研究者であるJ.O.ハリウェルは、『イングランドの伝承童謡集(The Nursery Rhymes of England)』(1842年)のなかで、初めてマザーグースの分類を試みています。『イングランドの伝承童謡集』第5版では、ハリウェルはマザーグースを「なぞなぞ」「積み上げ唄」など18項目に分類しています。このように、マザーグースにはさまざまな種類があります。イギリスの人々はこれらのマザーグースを聞きながら育ち、英語の発音やリズム、ユーモアを育んでいくのです。マザーグースは新聞や小説、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』といった物語の素材にも用いられています。こうしたことから、英語を学ぶ上で、マザーグースはシェイクスピアや聖書と並んで欠かせない要素だとも言われています。さらに、マザーグースにおける不可思議で、突飛にも感じる詩は、多くの画家の関心を引いてきました。マザーグースをどのように描くか、そこに画家それぞれの個性が表れてきます。
本展では、『不思議の国のアリス』など有名な作品に見られるマザーグースをとりあげながら、イギリスの画家、ランドルフ・コールデコットやケイト・グリーナウェイ、アーサー・ラッカムなど、さまざまな画家たちの描いたマザーグースの挿絵を展示します。画家たちの個性を感じながら、マザーグースの魅力に浸っていただけたら幸いです。
※本展には、一部撮影可能な作品がございます。
撮影禁止の作品の撮影、SNS等への画像の投稿はご遠慮ください。
【展示作品リスト】
・壁面展示リスト(2024.3.7公開)
・ケース展示リスト(2024.3.7公開)
2024年03月9日(土)〜2024年06月9日(日)
【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】
大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円