2024年夏展

北陸新幹線 福井延伸記念特別展 かこさとし 絵本への「まなざし」

2024/06/14(金)〜2024/10/14(月)

©️1973 Kako Research Institute Ltd. 『からすのパンやさん』(偕成社)より

はたらく人へ 子どもたちへ
かこさとしのまなざしがこめられた絵本

  東京~軽井沢~金沢までを結んでいた北陸新幹線が、このたび福井県の敦賀まで延伸しました。これを記念し、昨年より軽井沢町と福井県は連携を行ってまいりました。その一環として、軽井沢絵本の森美術館では、福井県出身の絵本画家「かこさとし」の特別展を開催いたします。

 かこさとし(加古里子、1926-2018)は、福井県武生市(現:越前市)に生まれました。東京大学工学部を卒業後、会社勤務をしながらセツルメント活動(工場労働者が多く住む地域でのボランティア活動)を始めます。その一環として、子どもたちに手作り紙芝居や絵本を作り、これが後の絵本作品につながります。そして1959年に福音館書店より『だむのおじさんたち』(現在は復刊ドットコム)を刊行し、絵本作家としてデビューしました。

  かこさとしの絵本には、自身の経験や洞察が込められています。特に大きいのが戦争経験です。戦争を経て、かこさとしは「自分に何ができるのか」追求するようになります。その中で彼が見ていたのは、自国を復興させようと立ち上がる人々、彼らが築き上げていく町の姿でした。こうした光景が、かこさとしの創作の原点となります。そして「子どもたちが自分の先生」と語るように、子どもたちの反応を見ながら、彼らの探求心を引き出すような紙芝居、そして絵本を作っていったのです。

  たとえば代表作『からすのパンやさん』(偕成社、1973年)は、ロシアのモイセーエフ舞踊団の組曲「パルチザン」に着想を得ています。「パルチザン」は、戦いに身を投じる民族をテーマにした内容ですが、かこさとしは「そこに登場する兵士・農民・労働者・老若男女の一人ひとりの人物描写」に心打たれ、この学びをからすたちに試みたといいます。また、同作は続編『からすのおかしやさん』『からすのやおやさん』『からすのてんぷらやさん』『からすのそばやさん』(いずれも偕成社、2013年)も出版されました。懸命に生きる人々の姿が、本シリーズのからす一羽一羽の表情を生き生きとさせているのです。

  また、代表作『だるまちゃんとかみなりちゃん』(福音館書店、1968年)では、「雲車(ウンカー)・雷車(ライカー)」があちこちを走り、「配膳移送機」がごちそうを運んでくれる、非常に近未来的なかみなりちゃんの町が登場します。見開きいっぱいに描かれたこの場面からは、「私たちの世界も、いつかこんな風になるのかな」と、期待がわいてきます。同時に、かみなりちゃんの町の住人の姿を通して、科学技術を発展させてきた人々の力を感じ取ることができるのです。

「はたらく人々」の思いや力を、長きに渡ってこどもたちに伝えてきた、かこさとしの絵本。作者の「まなざし」とともに、お楽しみいただけたら幸いです。

※本展は撮影禁止となっております。

【展示の見どころ】(2024.6.3更新)

・『からすのパンやさん』(1963年、偕成社)の全場面を初展示 ※表紙を除く
・『だるまちゃんとかみなりちゃん』(1968年、福音館書店)が11年ぶりの全場面展示
・かこさとしのデビュー作『ダムのおじさんたち』(1959年)や『かわ』(1962年)『ゆきのひ』(1966年) 『だるまちゃんとてんぐちゃん』(1967年)などの、かこさとしの初期作品を展示
・科学絵本の場面の展示や、童話集の挿絵の元になったカラフルな絵の初披露も
・北陸新幹線の福井延伸を記念し、福井県越前市かこさとしふるさと絵本館との連携イベントも開催!スタンプラリーの台紙には、本展でも一部が展示される『たっくんひろちゃんのちょうちょうとっきゅう』のデザインが。
・越前市の伝統産業である打ち刃物が登場する『まさかりどんがさあたいへん』(小峰書店)を展示

引用元:かこさとし公式HP「お知らせ」2024年5月25日

【展示作品リスト】(2024.7.3更新)

壁面展示リスト
・ケース展示リスト

【イベント】

越前市かこさとしふるさと絵本館「石石」×軽井沢絵本の森美術館 連携スタンプラリー
軽井沢絵本の森美術館と、越前市かこさとしふるさと絵本館「石石(らく)」が連携します。期間中、2館でスタンプを押した方に「からすのパンやさん」のイラストカードをプレゼントします!

期間
2024年6月14日(金)~2024年10月14(月) 各施設の開館時間内
※上記期間を過ぎてのスタンプの押印・特典の引き換えはできませんので、ご注意ください。

参加方法 (2024.4.14 表記を一部修正しました)
・スタンプラリー台紙を、軽井沢絵本の森美術館または 越前市かこさとしふるさと絵本館「石石(らく)」 にて、お受け取りください。
・台紙を「軽井沢絵本の森美術館」で受け取った場合:
軽井沢絵本の森美術館側にすでにスタンプが押してあります。「石石(らく)」にて、館内の所定の場所でスタンプを押してください。
・台紙を「石石(らく)」で受け取った場合:
館内の所定の場所でスタンプを押してください。その後、軽井沢絵本の森美術館の入館受付で、台紙をご提示ください。
・期間中にもう一方の館へ来館し、台紙に二つのスタンプがそろったら、各館の入館受付で台紙をご提示ください。特典をお渡しします。

注意事項
・スタンプラリーの台紙には限りがあるため、会期の途中で配布を終了する場合がございます。
・特典のお渡しは、台紙1枚につき、1点のお渡しとなります。
・台紙は1名さまにつき1枚まで有効です。特典の受け取りは、台紙をお持ちの本人のみ可能となります。

越前市かこさとしふるさと絵本館「石石(らく)」
開館時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
会期中の休館日:毎週火曜日、国民の祝日の翌平日、展示替えに伴う臨時休館(会期中は9月4日、5日)
入館料:無料
リンク:ホームページInstagram

  • 会期

    20240614日(金)20241014日(月)

  • 開館時間
    9:30~17:00
    ※最終入館は閉館の30分前
  • 休館日
    火曜日 
    ※7~9月は無休
  • 入場料金

    【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】

    大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円 

    【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】

    大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円 

※小学生未満無料

※小学生以下のご入館には保護者の同伴が必要です

※障がい者割引あり