2025年春展
2025/03/8(土)〜2025/06/22(日)
たのしい「教訓」の世界?
イソップ童話の面白さ
絵本の起源と言われる「世界図絵」は、現在でいう教科書や図鑑のような役割を持っていました。その後、「ホーン・ブック」「バトルドア」など、聖書の内容やアルファベットを子どもに教える印刷物が普及し、現在の絵本を含む子どものための本につながっていきました。加えて18世紀の教育では、子どもに知識や道徳を教えることが重視されるようになります。こうして、子どものための本は、「子どもにものを教えること」から出発しました。
この時期の子どもの本は、「教訓」を題材にすることが多くありました。そこでよく取り上げられたのが「イソップ童話」です。動物が擬人化したような形で、人生の教訓や風刺を表現するお話は「寓話」と呼ばれ、イソップ童話はこの最たる例です。19世紀末~20世紀になると、イソップ童話はウォルター・クレイン、アーサー・ラッカムといった現代絵本の創成期に活躍した画家たちによって、子どもの本に描かれるようになりました。堅苦しく感じる「教訓」も、動物の姿を通して教えてくれるイソップ童話に、子どもたちは親しみを覚えてきたのです。
本展では、長野県佐久市在住の絵本画家・いまいあやの『イソップ物語 13のおはなし』(BL出版、2012年)の絵本原画を中心に、さまざまなイソップ童話をイラストともにご紹介します。「ウサギとカメ」「キツネとぶどう」などの有名なものから、「オンドリと宝石」「泉のほとりのシカ」といったあまり知られていないものまで、多くのイソップ童話にふれていただくことができます。いまい氏が描くイソップ童話の中でも「みえっぱりのカラス」と「カラスとハトたち」は、それぞれのお話のずる賢いカラスが、一枚の絵の中で対になっているユニークな構図の作品です。
さらに、いまい氏の代表作『くつやのねこ』(BL出版、2010年)の特集展示を行います。素材となった「ながぐつをはいたねこ」の作者シャルル・ペローの紹介をまじえながら、本作の魅力をひも解いていきます。シャルル・ペローは、17世紀フランスの宮廷作家であり、「グリム童話」の編纂者・グリム兄弟にも大きな影響を与えました。本展では「イソップ童話」と合わせて「グリム童話」「ペロー童話」や「アンデルセン童話」といった、童話の種類についても解説していきます。
いまいあやの プロフィール
1980年にイギリス・ロンドンに生まれ、イギリス・アメリカ・日本で育つ。武蔵野美術大学出身。2003年に『108ぴきめのひつじ』(文溪堂) 、2004年に『ベルナルさんのぼうし』、2006年に『チャッピィの家』、2009年に『くつやのねこ』、2012年に 『イソップ物語13のおはなし』(4作すべてBL出版)が ボローニャ国際絵本原画展にて入選したのをきっかけに、国内外で作品が読まれている。また、『くつやのねこ』は、2011年のブラティスラヴァ世界絵本原画展での子ども審査員賞を受賞している。現在は軽井沢町にほど近い、長野県佐久市に在住。
※本展は撮影禁止となっております。
【展示作品リスト】
公開までしばらくお待ちください
2025年03月8日(土)〜2025年06月22日(日)
【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】
大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円