2025年夏展
2025/06/26(木)〜2025/10/6(月)
いまいあやの『イソップ物語 13のおはなし』©2012 Ayano Imai/BL出版 ※画像は変更になる場合がございます
「どうぶつのお話」としてのイソップ童話
絵本の中のどうぶつを見つめる
「寓話(ぐうわ)」とは、動物同士のかけあいや、動物の行動によって教訓や風刺を伝えるお話です。その代表であるイソップ寓話は、簡潔でわかりやすい内容に加え、登場する動物がキャラクターのように誇張されている点で、童話としても子どもたちに親しまれてきました。実際にイソップ寓話のお話を読んでいくと、動物たちのイメージや特徴を活かした部分が見えてくることがあります。
例えば、「ライオンとネズミ」があります。ライオンがネズミを見つけ食べようとしたところ、命ごいをされ、ライオンは見逃します。その後、ライオンが網にかかってしまったとき、ネズミが網をかみちぎって助けてくれる内容です。ここには「どんなに強い者でも、弱い者に頼ることがある」という教訓が込められ、ライオンの「大きくて強い、百獣の王」のイメージと、ネズミの「小さて小回りがきき、強い前歯を持つ」特徴が反映されています。イソップ童話は、動物のお話としての魅力も持つのです。
佐久市在住の絵本画家・いまいあやの氏は『イソップ物語 13のおはなし』(BL出版、2012年)をはじめ、『ベルナルさんのぼうし』(BL出版、2014年)、『108ぴきめのひつじ』(文溪堂、2011年)など、数々の動物が登場する絵本を描いています。その理由に「動物たちが登場する方が、子どもたちは気持ちが入りやすい」と語っています。いまい氏が描く動物はリアルなタッチでありながら、愛らしさやユーモアがあり、物語の中でときに苦境に立つこともありながら、そのコミカルな姿や動きによって、読み手の気持ちに寄りそってくれます。そして繊細に描かれた毛並み一本一本は、まるで動物をなでているような温もりが伝わってくるのです。
本展はいまい氏の『イソップ物語 13のおはなし』に登場する動物を中心に、さまざまな動物絵本を原画とともにご紹介します。例えばペットとしても身近な「犬」について、いまい氏の『チャッピィの家』(BL出版、2010年)やH.A.レイ『プレッツェル(Pretzel)』(1944年)を通して、絵本における犬の描かれ方を見ていきます。このほかにも、「森の建築家」とも呼ばれるビーバー親子が主役の『ぼくたちおやこはだいくさん(Die Biberburgenbaumeister)』(パウル・マール作、1998年)など、動物の特性を活かした動物絵本を、原画とともに多数ご紹介します。本展を通し、動物の特徴とキャラクター性を照らし合わせながら、動物絵本の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
いまいあやの プロフィール
1980年にイギリス・ロンドンに生まれ、イギリス・アメリカ・日本で育つ。武蔵野美術大学出身。2003年に『108ぴきめのひつじ』(文溪堂) 、2004年に『ベルナルさんのぼうし』、2006年に『チャッピィの家』、2009年に『くつやのねこ』、2012年に 『イソップ物語13のおはなし』(4作すべてBL出版)が ボローニャ国際絵本原画展にて入選したのをきっかけに、国内外で作品が読まれている。また、『くつやのねこ』は、2011年のブラティスラヴァ世界絵本原画展での子ども審査員賞を受賞している。現在は軽井沢町にほど近い、長野県佐久市に在住。
※本展には、一部撮影可能な作品がございます。
撮影禁止の作品は、撮影およびSNS等への画像投稿をご遠慮ください。
【展示作品リスト】
公開までしばらくお待ちください。
2025年06月26日(木)〜2025年10月6日(月)
【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 500円【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】
大人 1,500円 中高生 1,000円 小学生 700円※小学生未満無料
※小学生以下のご入館には保護者の同伴が必要です
※障がい者割引あり