秋冬展「不朽の物語のひみつ~『グリム童話』を中心に~」が始まりました

2019.11.02


早くも軽井沢絵本の森美術館「不朽の物語のひみつ~『グリム童話』を中心に~」開催より約2週間となりました。たくさんのご来館、誠にありがとうございます!
今回は本展のご紹介をさせていただきます。

〇「不朽の物語」って、なに?

簡単にいうと「昔話」のことです。
昔話というと単純に古いお話というイメージがありますが、ここで定義するのは「口伝えのお話」のことです。作者が誰なのかわからない、文章にも絵にもなってない、地域の人々の伝聞のみで広まっていたお話を「昔話」といいます。

実は「グリム童話」も、この昔話の仲間。グリム兄弟がドイツ国内に散らばっていた昔話を集めて記録し、文書化したものが『グリム童話』です。
このように聞いたお話の内容を記録し、書き直すことを「再話」といいます。
兄弟のこの働きが、世界でも昔話を集めようとする動きにつながりました。そういう意味でも『グリム童話』はたいへん偉大な作品なんですね!

〇どうしてこれが広まったんだろう?

同じ「ヘンゼルとグレーテル」の絵本でも、これだけの種類があります

理由はいくつかありますが、絵本の画家たち、再話者の努力が第一に挙げられます。
昔話は本来耳から入ってきた言葉をたよりに内容を想像するものであるため、絵本にするには、語感や語り口、当時の生活の様子や光景が読み手に伝わる表現が必要になります。画家や再話者たちは語り継がれてきた伝統を尊重しながら、時代に合わせた表現を取り入れて、後の人々の記憶にも残るようにしてきたのです。

昔話の中でも「3匹のくま」や「赤ずきん」など、皆さんが知っているお話もありますが、それぞれ最初に読んだ絵本や、イメージする絵柄や雰囲気は違うと思います。
本展では、グリム童話から「いばらひめ」「ヘンゼルとグレーテル」「白雪ひめ」の画家による表現の違いもお楽しみいただけます。

〇「ひみつ」って、どういうこと?

本展では、『グリム童話』をかみ砕きながら、昔話の成り立ちや再話の過程をご紹介します。
昔話の舞台裏、すなわち「ひみつ」を覗き見ることができるんです。
「グリム童話って、実は…?!」そんな知識も合わせて詳しく解説いたします。

また、昔話ではありませんが、同じく長く知られてきたアンデルセン童話についてもご紹介しています。「人魚ひめ」「親指ひめ」などで知られたアンデルセンですが、昔話やグリム兄弟との関り方から見ると、また違った印象を受けるかもしれません。


100年以上前に出版された『グリム童話集』『アンデルセン童話集』の挿絵パネル(撮影可能)

本展では開催中の月2回、土曜日にギャラリートークを行っております。
以降の予定としては、11月23日、12月7日、12月21日、1月4日となります。
学芸員がより踏み込んだ話や詳しい解説をいたしますので、「もっと知りたい!」という方はぜひお越しいただけたら幸いです。
詳細:http://museen.org/ehon/exhibition/

ムーゼの森 学芸員 中須賀