2022.12.31
前回の学芸コラムでは、「オーナメントを作ろう!」についてご紹介しました。今回は、12月24日に行われた「ナイトミュージアム クリスマスに灯すおもちゃたち」について振り返ってみたいと思います!
「ナイトミュージアム クリスマスに灯すおもちゃたち」では、ドイツ・エルツ地方で作られているおもちゃの中でも、クリスマスに活躍するおもちゃに、実際に灯りを灯してみました!使用したおもちゃは、「ランタン」、「クリスマスピラミッド」、「シュヴィップボーゲン」になります。この3つをご紹介します!
まずは「ランタン」です。今回使用したのは電気式のランタンになります。コンセントにつなぐと点灯します。
教会やサンタクロース、くるみ割り人形、キリストの生誕の場面などがデザインされています。灯りを点けると、赤や緑で彩られたサンタクロースや生誕の場面が、やわらかく浮かびがります。
ドイツでは、11月11日にランタンが活躍するお祭が開催されています。その名も「聖マルティン祭」です。
聖マルティンは、316年~397年に存在したとされる聖人です。ローマの騎士だった頃、フランスのアルミンという街を見回っていると、1人の乞食を見つけます。マルティンは寒さに震える乞食に、自身の着ていたマントを与えたといいます。このような逸話から、聖マルティンは、生活に苦しむ人々の守護聖人としても有名です。「聖マルティン祭」では、子どもたちは手作りのランタンを持ち、歌を歌いながら、聖マルティンに扮した人と共に歩きます。
続いて、「クリスマスピラミッド」です。
クリスマスピラミッドはその名の通り、クリスマスの時期によく窓辺に飾られます。ろうそくを灯す燭台があり、ここに火を灯すと、あたためられた空気が上昇してプロペラを回してくれます。今回は、シカのクリスマスピラミッドとプロペラが2重になっている、天使のクリスマスピラミッドに火を灯しました。ろうそくの光とくるくると回るプロペラが、心を穏やかにしてくれます。
最後に、「シュヴィップボーゲン」をご紹介します。
シュヴィップボーゲンは、アーチ型をしたおもちゃです。こちらもクリスマスピラミッドと同じく、窓辺に飾られることが多いです。アーチ型をしているのは、エルツ地方の歴史と関係があります。
エルツ地方は、昔は鉱業で栄えていました。主な仕事場である坑道を支えていたアーチがモチーフとなっているとされています。また、暗い抗道では、光がとても大切にされていました。こうした光への想いとアーチが結びつき、現在のアーチ型のシュヴィップボーゲンが誕生したといわれています。
近年では、少し変わったシュヴィップボーゲンも制作されています。
また、電気式の「クリスマスピラミッド」と「シュヴィップボーゲン」も点灯しました!
いかがでしたか?ドイツのクリスマスの雰囲気を、感じていただけたのなら幸いです!
クリスマスも過ぎ、いよいよ年末です。皆様体調にお気をつけて、良い年末をお迎えください。
本年も誠にありがとうございました。来年も、何卒よろしくお願いいたします。
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学芸員 畑中