木葉井悦子のアトリエ~春の展示『ぼんさいじいさま』~

2022.04.06

軽井沢絵本の森美術館 第1展示館内の「木葉井悦子のアトリエ」の展示替えを行いました!今回展示しているのは、『ぼんさいじいさま』(1984年、偕成社)の原画、計11点です。

▲『ぼんさいじいさま』(木葉井悦子、偕成社、1984年)

【あらすじ】
盆栽(ぼんさい)が大好きなぼんさいじいさまがいました。ある日、じいさまのところに「ひいらぎ少年」が現れます。
ぼんさいじいさまは、一緒に暮らしていた生き物たちと「さよなら」をします。そしてひいらぎ少年とともに、風の向こうへ消えていきます。

ペンと水彩で描かれた絵からは、優しい印象を受けます。しかし、お話にはどこか寂しさも漂っています。ひいらぎ少年の口にする「お迎え」という言葉、一緒に暮らしていた生き物たちと交わす「さよなら」……。どれも、ぼんさいじいさまが「この世からいなくなってしまう」ということを、そこはかとなく伝えています。お別れの雰囲気が、読者に寂しさを抱かせるのかもしれません。

しかし、それだけではありません。
ぼんさいじいさまと暮らしていた生き物たちは、「さよなら」を言うとき、じいさまと過ごした日々を思い出します。
山ばとのプンは、木から落ちたところをじいさまに助けてもらったこと。ねこのクリは、足をけがした時に助けてもらったこと。馬のサクラはじいさまと畑仕事をしたこと。どれも、ぼんさいじいさまと生きた日々の温かさが伝わってきます。

▲館内の様子①

生きることの尊さ、喜びも『ぼんさいじいさま』から読み取ることができるのではないでしょうか。

『ぼんさいじいさま』の原画展示は、9月5日(月)まで行っております。ぜひ、間近で『ぼんさいじいさま』の世界をお楽しみください!

▲館内の様子②
▲館内の様子③

さらに、2022年3月に瑞雲舎より『ぼんさいじいさま』の絵本が復刊いたしました!エルツおもちゃ博物館併設の「絵本のお店」にて販売中ですので、この機会に絵本をお手元にお迎えいただけましたら幸いです!

▲『ぼんさいじいさま』(瑞雲舎、復刊、2022年)

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学芸員 畑中