1995年にこの世を去った絵本作家、木葉井悦子は生涯で17冊あまりの絵本を世に送り出しました。多いとはいえない数ではありますが、ありのままの自然と人間の姿を描いた彼女の作品は今もなお、色あせることなく私たちの心に訴えかけてきます。
美大で油絵を学び、純粋絵画から出発した木葉井を絵本制作に向かわせた転機は 1970 年、初めてアフリカを訪れた時のことであったといいます。「そこ(アフリカ)で生きのびる力を授かった」という彼女は、『あかいめのしろヘビ』というアフリカを舞台にした絵本を皮切りに次々と作品を生み出していきました。
本展覧会では、木葉井を語る上で欠かせないキーワード(「アフリカ」「仏教」等)とともに、絵本や挿絵本のほか、木葉井ゆかりの品々(生前愛用していた画材や愛読書など)も展示し、木葉井悦子を幅広い角度から紹介します。描くことへの情熱とエネルギーあふれる世界を体感していただけることと存じます。
しばしば<大胆な線と明るい色>と評されることの多い木葉井の絵本からは、彼女が読者に伝えたかったメッセージを、そして躍動する大地といのちを受け取っていただけることでしょう。