KaruizawaPicturebookMuseum

EXHIBITION

展示案内

2023 夏展

童話のなかのアンデルセン

北見葉胡 画『おやゆびひめ』©2007 Yoko Kitami

童話のなかに見える
アンデルセンの姿

 「おやゆびひめ」や「人魚姫」などの童話で知られる、H.C.アンデルセン。彼の童話は「アンデルセン童話」と呼ばれ、世界中で親しまれています。アンデルセンの最期は、多くの人に惜しまれながら、国葬によって送られました。

 アンデルセンは自伝の中で、自分の人生を「一編の美しいメルヘンだった」と述べています。この言葉を象徴するかのように、アンデルセン童話の中にはアンデルセンの幼少期の思い出、見聞きした風景や昔話などの要素が散りばめられています。例えば、「みにくいあひるの子」にはアンデルセン自身の人生が反映されています。「雪の女王」や「マッチ売りの少女」といったお話には、アンデルセンの父母に関する思い出が表れています。

 さらに、アンデルセンは童話を書くにあたって自分がお話を語るときの口調で書く、という目的を持っていました。アンデルセンは生涯自分の家を持たず、ホテルに宿泊したり、友人・知人の家を転々としながら生活していました。その際、各家庭の子どもたちにお話を語ることもあったようです。アンデルセンの理解者でもあったエドヴァー・コリンによれば、アンデルセンが語れば、どんなお話もたちまち生き生きと聞こえてきたといいます。そしてアンデルセンの中には、自分の語りでもっとたくさんの子どもたちを喜ばせたいという思いも芽生えます。そして、自分の語りの様式を文字にして残そうという考えに至ったのです。これが、アンデルセンが童話を書くきっかけになりました。そうしたアンデルセンの語り口がよく表れているとされるのが「おやゆびひめ」です。

 「おやゆびひめ」は、1835年に出版された『Eventyr, fortalte for Børn.(子どものための童話集)』第1巻第2冊に収録されたお話です。「おやゆびひめ」の物語の中には、アンデルセンの故郷・デンマークの四季の風景が描かれています。また、デンマーク語の原文を見ると、「for(なぜなら)」や「saa(とても)」といった言葉が多用されています。これは、「だからね」「あのね」といった少し幼いニュアンスを含んでいます。アンデルセンもこのように優しく、子どもたちにお話を語ってあげていたのかもしれません。

 本展では、アンデルセンの生涯やデンマークの文化などを絡めながら、様々なアンデルセン童話をご紹介します。よく知られたお話から、あまり知られていないお話まで、たくさんのアンデルセン童話を知るきっかけとなれば幸いです。

※本展には、一部撮影可能な作品がございます。
 撮影禁止の作品の撮影、SNS等への画像の投稿はご遠慮ください。

【展示作品リスト】
壁面展示リスト(2023.6.18公開、8.13一部誤字を修正しました)
ケース展示リスト(2023.6.22公開)

【イベント】
夏展「童話のなかのアンデルセン」ギャラリートーク(2023.8.14更新)
 以下の日程で学芸員によるギャラリートークを行います。
 9月30日(土)14時~
・イベントの時間は30分程度を予定しております。
・ご予約不要 ※入館料が必要です
・ご参加希望の方は、お時間になりましたら第2展示館の入り口にお集まりください。
・途中参加/途中抜け可。トークは第2展示館内で行いますので、途中参加の方はそのままお入りください。

  • 会期

    20230623日(金)2023109日(月)

  • 開催期間
    9:30~17:00
    ※最終入館は閉館の30分前

    ※6月7日(水)~6月9日(金)は、エルツおもちゃ博物館は展示入替のため、ご利用いただけません。また、この期間中はセット券の販売は停止させていただきます。(ショップは利用可能です。)
    ※6月21日(水)~6月22日(木)は、軽井沢絵本の森美術館・第2展示館は展示入替のため、ご利用いただけません。その他の施設は通常通り営業いたします。また、この期間中のみ特別入館料となります。(ショップは利用可能です。)
  • 休館日
    火曜日 
    ※7~9月は無休
  • 入場料金

    【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】

    大人 950円 中高生 600円 小学生 450円 

    【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】

    大人 1,400円 中高生 900円 小学生 650円 

※小学生未満無料

※小学生以下のご入館には保護者の同伴が必要です

※障がい者割引あり

2023 秋冬展

アメリカ絵本の魅力

ジェシー・ウィルコックス・スミス画『クリスマスの前の晩 Twas the Night Before Christmas』(1912年)

冒険と郷愁、アメリカ絵本の魅力にせまる

 モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』(1963 年)やバージニア・リーバートン『ちいさいおうち』(1942 年)など、数々の名作を輩出したアメリカ絵本。アメリカの絵本には、読み手の好奇心を誘う「冒険心」や、かつてのアメリカの素朴な情景を描く「郷愁」といった魅力が見られます。
 絵本の歴史をたどると、子ども向けの挿絵本の時代にたどり着きます。アメリカでは『ロビンフッドのゆかいな冒険』(1883 年)のハワード・パイルが、挿絵本界を牽引しました。そして「アメリカで最も愛された画家」と呼ばれるジェシー・ウィルコックス・スミスをはじめ、アメリカ絵本の草創期を築く画家らを輩出します。
 挿絵本の時代を経て、『100 まんびきのねこ』(1928 年)のワンダ・ガアグや、『かもさんおとおり』(1941 年)のロバート・マックロスキーを中心とする、アメリカ絵本の開花期が始まります。挿絵本の時代は、主にイギリスからの影響を強く受けていましたが、ここからはアメリカ絵本の個性が色濃く出るようになりました。この時期は、第二次世界大戦の情勢下にあり、戦況によって活動の場をアメリカに移す画家もいました。その一人であるH . レイは、アメリカへ移住し、『きりんのセシリ―と9 ひきのさるたち』(1939 年)、『どうながのプレッツェル』(194 4 年)といったヒット作を生んでいます。
 1938 年には、もっとも優れた絵本に与えられる「コールデコット賞」が創設されました。戦後のアメリカ絵本の歴史は、主にこの賞とともに語ることができます。本展では、ドナルド・クリューズ『はしれ!かもつたちのぎょうれつ』(1978 年)、マーシャ・ブラウン『影ぼっこ』(1982 年)、アリス&マーティン・プロヴェンセン『パパの大飛行』(1983 年)といった受賞作の原画を中心に、戦後以降のアメリカ絵本の黄金時代に迫ります。合わせて、コールデコット賞の由来となる「現代絵本の父」ランドルフ・コールデコットの絵本の魅力にふれます。
 また、ミニ特集として、アメリカ児童文学を代表するファンタジー『オズの魔法使い』シリーズをご紹介。本作登場のキャラクター「かぼちゃのジャック」と絡めたフォトスポットが登場します。

※本展には、一部撮影可能な作品がございます。
 
撮影禁止の作品の撮影、SNS等への画像の投稿はご遠慮ください。

【展示作品リスト】
公開までしばらくお待ちください。

【イベント等】
公開までしばらくお待ちください

  • 会期

    20231013日(金)2024018日(月)

  • 開催期間
    【10月】9:30~17:00
    【11月~1月】10:00~16:00
    ※最終入館は閉館の30分前
  • 休館日
    【10月・11月】火曜日
    【12月】火~金曜日 ※12/27(水)~12/31(日)は開館
    【1月】1/1(月)、1/4(木)~1/5(金)
     ※1/9(火)〜3/8(金)までは冬期休館
  • 入場料金

    【軽井沢絵本の森美術館/ピクチャレスク・ガーデン単館の場合】

    大人 950円 中高生 600円 小学生 450円 

    【エルツおもちゃ博物館・軽井沢との2館共通セット券の場合】

    大人 1,400円 中高生 900円 小学生 650円 

※小学生未満無料

※小学生以下のご入館には保護者の同伴が必要です

※障がい者割引あり

常設展示のご案内

ピーターラビットのひみつをさぐろう!!

ピーターラビット™のひみつの部屋(第3展示館)

ビアトリクス・ポターの生誕150周年となる2016年に、ピーターラビットシリーズを紹介するコーナーを常設いたしました。本展では、日本におけるビアトリクス研究の第一人者である「吉田新一」氏(英米児童文学研究者、当館名誉顧問)監修の元、作品世界を深く読み解きながら、お話に込められた「ひみつ」に迫ります。

ピーターラビット™のひみつの部屋

吉田新一文庫(第1展示館)

第1展示室に隣接している「吉田新一文庫」は、当館の名誉顧問でもあり英米児童文学研究者の吉田新一氏の資料をご紹介しています。貴重な原書などの資料があり、学生や研究者の方にもご利用いただいています。

吉田新一文庫

欧米絵本のあゆみ(第1展示館)

欧米絵本の初期から現代まで続く魅力を様々な切り口で紹介しています。

欧米絵本のあゆみ

木葉井悦子のアトリエ(第1展示館)

木葉井悦子(1937―1995)は、東京・小金井出身の画家です。初の絵本である『あかいめのしろへび』をはじめ、『みずまき』や『ぼんさいじいさま』など、生涯で17冊の絵本を制作しました。武蔵野の原生林の残る地域で育った彼女の絵本には、豊かな自然やいきいきとした動物たちが多く登場します。また数年暮らしたアフリカの地での経験や仏教思想なども、作品の中に落とし込まれています。「木葉井悦子のアトリエ」では、ご遺族の意向により当館に寄贈された木葉井の原画作品を、その生涯と共にご紹介しています。

木葉井悦子のアトリエ